2015/12/06

くまのコールテンくん

ボクの母は保育士で、その仕事柄、何冊ものよい絵本に精通していました。よい絵本とは、例えば3世代以上読み継がれる本のことですが、『くまのコールテンくん』もその一つです。

大きなデパートのおもちゃ売り場に、緑色のズボンをはいた熊のぬいぐるみのコールテンくんがいました。どのぬいぐるみも「早く誰かのうちに連れて行ってほしい(購入されたい!)」と思っていました。ある日、ひとりの女の子がコールテンくんの前で立ち止まり、お母さんに買って欲しいとせがみます。けれども、ズボンのつり紐のボタンが1つ取れていると言われてしまい、店を後にされてしまいます。その夜、コールテンくんはボタンを見つけるために、閉店したデパート中を探し回りました。やっと見つけた、と思ったら、ベッドについている留めボタンだったのですが、これを引きちぎってしまった弾みで警備員のおじさんに見つかってしまいます。結局ボタンは見つからず、元のおもちゃ売り場に戻されることになりました。

ところが次の朝、昨日の女の子がやって来て、自分の貯金を全額使い切ってコールテンくんを家に連れて帰って(買い取って!)くれたのです。そして、この女の子「リサ」はコールテンくんを自分の部屋に連れ入れ、ひざに乗せると、とれたボタンを付けてくれました。その時、リサはこう言いました、「あたし、あなたのことこのままでもすきだけど、でも、ひもがずりおちてくるのは、きもちわるいでしょ。」と。コールテンくんはそこで初めてリサと言葉を交わします、「ともだちって、きっときみのようなひとのことだね。」と。

子どもも何らかのコンプレックスを持っています。けれども、それでも変わることのない愛情を実感することができたとき、子どもは「ともだち」を見つけ自由になれるのです。大人たち、親たちも、この意味においては子どもたちの「ともだち」でありたいものです。そうすれば、子として、親として、そして友として、お互いに仕合わせな人生を歩めるように思います。