2016/01/03

ありがたいこってす!

昔、貧しい不幸な男が、母親とおかみさんと、6人の子どもたちと一緒に、一部屋しかない小さな家に住んでいました。家の中があんまり狭いので、男とおかみさんは言い争いばかりしていました。子どもたちは子どもたちで、ガタガタうるさくて喧嘩ばかり。冬になると昼間は寒いし、夜は長いし、暮らしはますますみじめになっていました。

ある日、男はとうとう我慢できなくなり、ラビ(ユダヤの律法の教師)に助けを求めます。すると驚いたことに、ひなどり、おんどり、がちょうを家の中に入れて一緒に暮らせ、とラビは助言するではありませんか。男は驚きながらも実行しました。すると1週間後、小さな家は前よりもひどくなり、男はたまらず、再びラビを訪ねます。それでもラビは今度はヤギも一緒に、更にはウシも一緒にと、つまりは家畜を全部家の中に入れて一緒に住めと言い出します。そのたびに、男はわけが分からないまま、ラビの言う通りに律義に実行したのですが、当然ながら、小さな家での暮らしは前よりますますひどくなりました。そして、男がついに「地獄に堕ちたようでがす!」と叫ぶほどにまで劣悪な環境となった時、ラビが男に言いました、「動物たちを外に出しなされ」と。男は大急ぎで家畜たちを元いた所へ移します。するとその夜、本当に何日ぶりかで、哀れな男と家族たちは、グッスリ眠ることができました。翌日、男はラビを訪ね、大声で申します、「ラビ様、お前様は俺の暮らしを楽にしてくださった。家の中には家族の者がいるだけで、静かでゆったりで平和なもんでさあ。ありがたいこってす!」と。

家族とうまくいかないこと、有りますよね。そのたびに、家族が掛け替えのない存在であることを私たちは忘れがちです。でも、神さまが与えてくださったから自分にピッタリの家族である筈。神さまの導きによって家族とされていると信じることができたなら、なんと幸いなことでしょう。それこそ本当に、ありがたいこってす!