2012/11/01

かちかちやま


『かちかちやま』(福音館書店)を知っていますか?

 ある日、じいさまが豆をまいていると、その豆が育たないように、タヌキがはやし立てました。怒ったじいさまがくわを投げつけると、あわれタヌキは捕まります。そしてばあさまの手でタヌキじるにされそうになりますが、じいさまのいないすきに、タヌキはばあさまにおそいかかり、うちころしてしまいました。帰って来たじいさまは、ばあさまに化けたタヌキにニセモノのタヌキじる(中身はばあさま!)を食べさせられます。タヌキはそれを見て、元の姿に戻って逃げてしまいました。すると、ウサギがやって来て、悲しむじいさまに代わってかたき討ちをしてくれます。そしてタヌキは徹底的に懲らしめられ、ついにドロ舟もろとも溺れ死ぬのでした。

大人の中には、このお話に出て来るタヌキを「悪者」と決めつける人がいますが、ボクはそうは思いません。タヌキにだって言い分はあるはずです。もともと山には人間はおらず、タヌキは自由に暮らしていました。そこへ人間が勝手に入って来て家を建て、勝手に畑を耕して暮らし始めたのです。その人間が自分を食べると知ったなら、タヌキだって必死になるのは当たり前です。あなたがタヌキだったら、きっとそう思うはず。

『かちかちやま』がおもしろいのは、正義の味方が勝ち、悪者が負けるからではありません(勧善懲悪ではない)。命がけの戦いと、その決着を見られるからです。どんどはらい。