2015/02/08

超人サムソン

サムソン、というひとをご存知ですか。旧約聖書「士師記」に登場する怪力の持ち主です。ただし、それは持ち前の力であったのではなく、彼に「主の霊」が激しくくだった時に発揮される力でした。だから、主の霊がくだった時には素手でライオンを打ち負かしたり、ロバのあご骨で千人のペリシテ人を倒したりしてしまうほど強くなっていたのです。

このサムソンが心を寄せていたのはデリラという女性です。彼女の身分は良く分かりませんが、恐らくペリシテ人でしょう。ペリシテは当時、サムソンをはじめとするイスラエルと敵対関係にありました。このペリシテ人がサムソンを生け捕りにするためにデリラを買収し、秘密を聞き出させようとします。士師サムソンはデリラに迫られ、3度は欺けたのですが、ついに4度目にして秘密を打ち明けてしまいます。それは髪の毛をそり落とすと力が抜ける、ということでした。

実はサムソンはイスラエルの中で「ナジルびと」と呼ばれる一団にありました。この人々は一生、髪の毛を刈りません。もし刈れば、主に誓った誓願は無効になり、神さまから与えられた力も消えてしまうのです。

サムソンがデリラの膝枕の上で眠り込むと、デリラは人を呼んでサムソンの髪をそり落とさせ、ペリシテ人に引き渡しました。するとサムソンは両目をえぐられ、獄に繋がれて、強制労働を強いられてしまいます。実に惨めな獄中生活でした。

そんなある日、サムソンは見せ物にされるため、異教の神殿に引き出されるのです。ところが、その時にはもう髪は伸びており、力も元に戻っていました。そこでサムソンは神さまに「わたしを思い起こしてください」と祈りをささげ、神殿の2本の柱を抱えます。そして怪力を再び発揮。神殿を崩壊させ、中にいた三千人もろとも絶命してしまうのでした。

これはハッピーエンドとは言えないかも知れません。しかし私には、サムソンが自分の愚かさに気づき、悔い改めることができるように、その最期の時にも「主の霊」が激しくくだったと思えてならないのです。