2023/06/11

パスポートになりませんか?

20233月、『ちきゅうパスポート』という旅行券が販売されました(日本国際児童図書評議会/BL出版)。本物のパスポートのように名前や誕生日を書く欄もあります。表紙には「えほん作家から地球の子どもたちへ」と銘打たれ、その裏には「わたしたち地球のえほん作家は、このパスポートの持ち主である子どもが、地球を自由に移動できるようにし、必要な場合にはいつでも手をさしのべて子どもを守ってくれるよう、すべての関係者にお願いします」と日本語と英語で書かれています。このパスポートを発行したのは24人の絵本作家たちで、スタンプの代わりに想像の国を一人当たり1ページ、描いておられます。例えば降矢ななさんは「ちゃんぽんの国」、田島征三さんは「愛しても愛しても愛し足りないクニ」、スズキコージさんは「花孔雀村」です。しかも、24カ国が全部次の国へと手(或いは足、尾、羽根、etc.)で一つに繋がっているためにジャバラ製本なのです。

なぜこんなパスポートを発行したのか、発起人の一人ささめやゆきさんは次のようにお書きです、「いま地球上で、戦争にまきこまれて、くるしんでいる子どもたちがいます。わたしたちえほん作家は、その子どもたちとともに生きてきました。なにがあっても、かれらとともに希望をもちたいと、この『ちきゅうパスポート』をつくりました。なにもできなくても、なにもしないわけにはいかないきもちです。こわされたビルは建てなおせなくても、石いっこだけでも運ぶおもいです」と。本書の収益の一部がウクライナの子どもたちの支援のために寄付されることを考えると、この「石いっこ」はとても大きく、温かい石であることがよく分かります。

ご存知のように、ロシアは国境を超えて隣国ウクライナに侵攻し、戦争を続けています。「元は自分たちの土地だった」という理由によって。でも、そもそも土地、国土って何のために有るのでしょう。そこに住んでいる人たちが共に生きていくためではないでしょうか。そうであれば、殺し合うための国境なんて本当は要らないのではないでしょうか。

イエスさまはおっしゃいました、「わたしのは、この世には属していない。もし、わたしのがこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしのはこの世には属していない」(ヨハ18.36)と。イエスさまがおっしゃる「わたしの国」、それは教会です。どの国の、いつの時代の人でも、教会ではイエスさまの国に入ることができます。ただし、建物に入るだけなら虫にだってできます。皆さんはぜひ、教会というイエスさまの国の「国民」になってください。その時、皆さんはパスポートをもらえます。それは紙でできたパスポートではありません。イエスさまを王さまと信じる心が与えられたひとに洗礼という水が注がれ、そのひと自身がパスポートになるのです。水が体をきれいにするように、洗礼は、戦争や死の原因である罪からそのひとがきれいにされ、パスポートになったしるしです。そして、このパスポートは、たとえそのひとが死んでしまっても、神さまが引き取ってくださり、そのひとがイエスさまの国の国民であることを、終わりの日の復活によって明らかにしてくださいます。それがイエスさまの国の国民に約束されていることなのです。だから、さあ、あなたもパスポートになりませんか?