2016/04/04

メンデルの法則



今から三十年前(1986年)、私は農業系の短大で学ぶべく、上京しました。それは卒業して青年海外協力隊員になるためでしたが、受験勉強中、最も好きになった科目は「生物」で、特に遺伝の分野には不思議と興味関心が向いていました。その机上で知った人物にヨハン・メンデルという人がいます。

メンデルは1822720日、当時のオーストリア帝国の小作農家に生まれました。幼い頃から勉学は優秀で、オルミュッツ大学で学びます。すると教授の一人から「さらに科学を学び続けるために修道僧になるように」と勧められました。それは、当時の修道院が人文・自然科学・医学などの学術研究の担い手であったからです。そこでメンデルは、生まれ育ったブリュンにある聖トマス修道院に入会し、修道士として植物研究に取り組み始めます(ちなみに、この修道院では良質の羊毛や良質のワインを生産するために品種改良の研究が盛んに行われていました)。そしてここで、メンデルは、エンドウマメの交配で孫の代までどうなるかを調べることになるのです。

メンデルは修道院長にもなりましたが、有名な「メンデルの法則」などの遺伝学に関する業績は当時はまったく知られることがなく、研究した様々な自然科学の分野の中では寧ろ気象学の業績の方が良く知られていたようです。 

188416日、メンデルはオーストリア帝国のブリュン(現・チェコ)で亡くなりました。「現代遺伝学の父」という称号がメンデルに与えられたのは、その更に後のこと。しかし、その業績は今、日本の高校生たちにも学ばれていることです。
 
子どもが親に似るのはとても不思議なことですが、その仕組みは大変興味深いものがあります。ここから現在のDNA研究、分子生物学や遺伝子工学の大元となった遺伝子という概念に結び付くのです。その配列は果たして偶然の産物なのでしょうか? 私はそうは思いません。これこそ、宇宙万物を創造された神の大いなるお取り計らいである、と信じてやみません。メンデルと共に。
時代も国も教派もこえて。