2014/11/03

アッシジのフランチェスコ

「アッシジのフランチェスコ」という人の名をお聞きになったことがあると思います。この人はイタリアのアッシジの裕福な織物商の家に生まれました。青春時代は快楽を求め、自由奔放に過ごしていましたが、ある日「騎士になりたい」と願い、戦場に赴きます。すると病気に罹るのですが、これが実に幸いでした。うなされる夢の中でイエス=キリストに出合い、すっかり回心するのです。そしてキリストに従うことを決心し、持ち物を貧しい人びとに与え、自らは粗末な服をまとい、ローマ中を巡礼しました。また、アッシジに戻り、壊れた教会堂で祈っていると「教会を建て直すように」とのキリストの御声を聞き、すぐに教会堂の再建を始めるのです。ところがフランチェスコの父は、教会のために家の財産が費やされることを嫌い、フランチェスコが財産を受け継ぐことを放棄する法的手続きをとって勘当してしまいます。それでもフランチェスコはキリストの言葉に従うことを願い、同志を集め、清貧と愛の生活を続け、多くの人びとを感化しつつ、建物だけではなく、当時の乱れた教会そのものを改善していきました。

当教会でも採用している『讃美歌21』には、このフランチェスコが紡いだ「太陽の賛歌」が、補訂された上で収められています(223番/歌詞)。教会の蔵書として備えられていますから、ご遠慮なくご高覧ください。

ちなみに、クリスマスの夜、主イエスのご降誕を祝うために世界で初めて馬小屋を飾ったのは、このフランチェスコでした。主イエスが産声を挙げられたパレスチナの家畜小屋(おそらく洞穴)とは違う中世イタリア風の馬小屋でしたが、その中に幼子キリストの人形を置くことで、フランチェスコは本当の救いとは貧しさの中にもたらされる、ということを表現したかったのでしょう。