2013/10/07

“野口英世のきっかけ”

日本国内で今一番多く出回っている「顔」は誰の顔でしょう? それは嵐でもAKB48でもなくて、野口英世だと私は思うのですが、いかがでしょうか。なぜなら、ほとんどの大人が千円札を持ち歩いているからです。もちろん紙幣の流通量で言えば、福沢諭吉の壱万円札には遠く及びませんが、少なくとも私の財布の中には野口英世のほうがたくさんいるのです。

野口英世がキリスト者であったことは余り知られていません。1876(明治9)年11月9日、英世は福島県耶麻郡に生まれました。一歳の時に囲炉裏に転落して大火傷を負い、左手が癒着してしまいますが、15歳の時に手術をしてくださった医師の影響で英世も医師を目指すようになります。そして、それが、英世がキリスト教会と触れ合う切っ掛けとなりました。

医学書の精読のために英世はフランス語を学びに行くのですが、そこはカトリック会津若松教会でした。そこで英世は、これまでに見たこともない別世界(ミサや祈り)に触れることになるのです。そして英語を学びに会津栄町教会(現在の日本基督教団若松栄町教会)に通い、そこの牧師とたいへん親しくなって、創立2年目のこの教会で、2人目の受洗者(洗礼を受けたひと)になりました。

このように、野口英世が教会に行くことになったのは、語学を学びに行ったのが切っ掛けです。このことは、幕末・明治期のキリスト者の多くが武士階級、知識階級の人々であったことの典型でしょう。開国後の日本のキリスト教はそこから始まって現在に至っています。

もしかすると皆さんの中にも、ご自分がいつの間にか教会に来ていた、戻って来ていた、と言う方があるかも知れません。それで良いのです。イエス=キリストの神は、それぞれの切っ掛けを用いて、あなたに出会ってくださるからです。いや、あなたと“出合う”ために、あなたにピッタリの切っ掛けを、キリストが用意なさっていたのです。