クリスマスが近づいてくると私には幼い頃(日曜学校時代)に経験したページェント(主イエスの降誕劇)が懐かしく思い出されてきます。主イエスの母マリア、天使ガブリエル、父親に選ばれたヨセフ、そして羊飼いや東方の占星術の学者たちなど、幾人もの登場人物があり、それぞれに定番の歌やセリフがありました。私も十数年間で幾つもの役を経験しましたが、何が嬉しいかと言って教会の大人たちが劇を喜び、誰が何の役であろうと終演後に子どもたちをほめてくれることでした。
このページェントにまつわるステキな詩を(再び)紹介しましょう(2013年12月号掲載)。旧約聖書学者でもあった松田明三郎牧師(1894-1975)がご自分の担任教会での出来事を題材にしてお作りになった「星を動かす少女」という詩です。
「星を動かす少女」
クリスマスのページェントで、
日曜学校の上級生たちは
三人の博士や
牧羊者の群や
マリヤなど
それぞれ人の眼につく役を
ふりあてられたが、
一人の少女は
誰も見ていない舞台の背後にかくれて
星を動かす役があたった。
クリスマスのページェントで、
日曜学校の上級生たちは
三人の博士や
牧羊者の群や
マリヤなど
それぞれ人の眼につく役を
ふりあてられたが、
一人の少女は
誰も見ていない舞台の背後にかくれて
星を動かす役があたった。
「お母さん、
私は今夜星を動かすの。
見ていて頂戴ね――」
私は今夜星を動かすの。
見ていて頂戴ね――」
その夜、堂に満ちた会衆は
ベツレヘムの星を動かしたものが
誰であるか気づかなかったけれど、
彼女の母だけは知っていた。
そこに少女のよろこびがあった。
ベツレヘムの星を動かしたものが
誰であるか気づかなかったけれど、
彼女の母だけは知っていた。
そこに少女のよろこびがあった。
誰一人として関心を注がない舞台裏で、少女がただ母親に知られていることを喜びながら、健気に星を動かす姿が脳裏に浮かんできます。私には、この母親の眼差しが、神さまが私たちに注いでくださっている愛の眼差しと重なっているように思えるのです。「わたしの目にあなたは価高く、貴く/わたしはあなたを愛し/あなたの身代わりとして人を与え/国々をあなたの魂の代わりとする」(イザ43.4)。
愛の眼差しを注いでくださる神さまは、独り子キリストを救い主として世にお遣わしになり、ご自身の愛を最も明らかに、確かに示してくださいました。自分を愛してくれる人がいる、愛してくださる神さまが生きて働いておられる。この事実を喜ぶ喜びが皆さんとそのご家庭にも豊かに宿りますように。
クリスマス、おめでとう