「アンパンマン」の作者 やなせたかし さんは聖公会所属のキリスト者です。漫画家として有名ですが、「手のひらを太陽に」を作詞なさった詩人としても知られています。このやなせさんがお書きになった詩の中に「絶望のとなりに」という詩があります。
絶望のとなりに
だれかが
そっと腰かけた
絶望は
となりのひとに聞いた
「あなたはいったい誰ですか」
となりのひとはほほえんだ
「私の名前は
希望です」
私たちの人生には、納得の行かないことや、不条理としか思えないことがあります。そのために怒ること、泣くことがありますが、ある人は絶望してしまうこともあります。しかし、そんな時に、自分の隣りに希望があったら、どんなにすばらしいでしょう。
やなせさんは、その希望を見いだしたひとです。そこで手掛けたのが『あんぱんまん』という絵本でした。ひもじい思いをしているひとのところへ行き、自分の頭を食べさせて、その命を繋いであげるのです。この絵本にはバイキンマンは登場しません。必要ないのです。アニメ漫画になって勧善懲悪の筋書きが主流となりましたが、やなせさんが『あんぱんまん』に込めた願いは「あなたの隣りに希望は来ている」というメッセージを伝えることでした。そして、やなせさんにとって希望とは、人となられた神の子イエス=キリストだったのです。自分を生かすために十字架の上で体を割いて下さった主イエス、この方がやなせさんの「あんぱんまん」なのです。